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       労働安全衛生の注意点

労働基準監督官の臨検における最大のチェックポイント
労働安全衛生法に基づく安全衛生管理は、労働基準監督官の臨検(立入検査)における最大のチェックポイントです。
特に、定期検査の対象になり易い建設業、運送業、製造業などは要注意です。
労働安全衛生については、労働安全衛生法とその施行令以外にも、次に掲げる規則(厚生労働省令)が有り、各々の分野について事細かく規定されています。
全般 ・労働安全衛生規則 ・事務所衛生基準規則
個別 ・作業環境測定法
 及び施行令・施行規則
・じん肺法、及び施行令・施行規則
・粉じん障害防止規則
・有機溶剤中毒予防規則
・鉛中毒予防規則
・四アルキル鉛中毒予防規則
・特定化学物質等障害予防規則
・ボイラー及び圧力容器安全規則
・クレーン等安全規則
・ゴンドラ安全規則
・機械等検定規則
・高気圧作業安全衛生規則
・電離放射線障害防止規則
・酸素欠乏症等防止規則
石綿障害予防規則



労働安全衛生における注意点
労働安全衛生法令は膨大な規定が有りますが、以下に最低限知っておくべき注意点を列挙します。
1.安全衛生管理体制の整備
労働安全衛生法では、その事業場の労働者数に応じて、総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医などの選任と労働基準監督署への届出、安全衛生委員会の実施などを義務付けていますが、これらの労働者数要件は、パートタイマーや臨時アルバイトのみならず、派遣労働者(他社の社員)や業務請負人(下請)を含めた人数で見る、ということに注意して下さい。
常時50人以上が従事している事業場の場合
衛生管理者産業医を選任して労働基準監督署に届出しなければなりません。
毎月、衛生委員会を開催してその会議録を3年間保存しなければなりません。
定期健康診断の報告書を労働基準監督署に届出しなければなりません。

更に次に掲げる業種の場合は、安全管理者を選任して労働基準監督署に届出しなければなりません。
また、毎月、安全(衛生)委員会を開催してその会議録を3年間保存しなければなりません。
【安全管理者の選任と安全(衛生)委員会の開催が必要な業種】
林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、製造業、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品の卸売業又は小売業、家具・建具・じゅう器等の卸売業又は小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業、機械修理業

建設現場の場合は、統括安全衛生責任者元方安全衛生管理者の選任・届出が必要です。
(尚、ずい道等建設、人口集中地域内における道路・鉄道等の橋梁建設、圧気工法による作業を行なう建設現場は「30人以上」で選任・届出が必要です。)
また、労働安全衛生法改正により、請負重層で行なう製造業についても、元請事業者が労働安全衛生法上の元方事業者となり、下請事業者の労働災害防止措置と安全衛生管理を行なう義務が課されましたのでご注意下さい。

次に掲げる要件を全て満たす事業所に限り、社外の者を衛生管理者に選任出来ます。
(1)以下の業種に該当しない事業所であること。
農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業(物の加工業を含む)、電気・ガス・水道・熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業、清掃業
(2)衛生管理者に係る委任契約書、業務委託契約書、労働者派遣契約書等において、当該衛生管理者がその職務を遂行しようとする事業所に専ら常駐し、且つその者が一定期間継続して職務に当たることが明確に定められていること。
(3)衛生管理者に係る委任契約書、業務委託契約書、労働者派遣契約書等において、衛生管理者として行なわせる具体的業務及び必要な権限の付与並びに労働者の個人情報保護に関する事項が明記されていること。

新規に安全管理者を選任する際は、所定の安全管理者選任時研修を受講した者の中から選任しなければなりません。

2.最も重要な「安全衛生管理計画書」の策定
労働基準監督官の定期検査(監督)は、次に掲げる三大労災事故の防止を目的に、それぞれ災害防止強化月間(一般的に4月〜9月の上半期)を定めて行なわれます。
  建設業→「墜落・転落災害」の防止
  運送業→「交通事故災害」の防止
  製造業→「挟まれ・巻き込まれ災害」の防止

主なチェック項目は・・・・・、
(1)作業の安全を確保する為の「安全衛生管理計画書」の有無
(2)計画書に基づく「職場の安全点検チェックリスト」などの有無
(3)作業現場・設備・機械などに対する安全対策の実施状況
(4)就業制限業務(免許が必要)とその他の危険有害業務(特別教育が必要)について
(5)機械に対する定期自主検査又は特定自主検査の実施状況
(6)作業環境測定の実施状況
(7)作業員(業務請負人を含む)に対する安全衛生教育の実施状況
(8)安全衛生に関する管理者の選任及び届出の有無
などが対象になります。

上記の(1)〜(8)の中で、検査(監督)においては最も重要であるにも関わらず、意外に見落とされがちなのが、(1)の「安全衛生管理計画書」です。
「計画書(紙切れ)だけ有っても実態が伴わなければ意味が無い」と考えるのは一般人の考え方で、行政側の考え方は違います。
労働基準監督官(行政側)は、「災害防止に向けて具体的にどういう活動を行なうのかを事前に定めた計画(アクションプラン)すら無いようでは実際の安全対策が出来る訳が無い」と捉えるのです。
ですので、日常の安全点検、機械の定期検査、人への教育などについて、その具体的内容・責任者及び1年間のスケジュールを定めた計画書の策定を第一に行なう必要があるのです。

3.就業制限業務と特別教育対象業務
危険有害業務の中には、一定の有資格者又は技能講習修了者以外の従事が禁止されている就業制限業務と、法律で定められた特別教育が必要な業務が有ります。
この規定に違反した場合は、6ヶ月以下の懲役刑又は50万円以下の罰金刑が科されます。

(1)就業制限業務の例
(※印は道路走行の運転を除く)
発破作業の業務
潜水器を用いた水中作業の業務
制限荷重5トン以上の揚貨装置の運転業務
ボイラー又は第1種圧力容器の取扱い業務(但し、小型を除く)
吊り上げ過重5トン以上のクレーン又はデリックの運転業務
吊り上げ過重1トン以上の移動式クレーンの運転業務(※)
最大荷重1トン以上のフォークリフト又はショベルローダーの運転業務(※)
最大積載量1トン以上の不整地運搬車の運転業務(※)
作業床の高さ10m以上の高所作業車の運転業務(※)
制限荷重1トン以上の揚貨装置、又は吊り上げ過重1トン以上のクレーン、デリック、移動式クレーンの玉掛け業務  など

(2)特別教育対象業務の例(※印は道路走行の運転を除く)
上記(1)の就業制限業務に該当しない以下の業務
揚貨装置、クレーン、デリック、移動式クレーン、フォークリフト、ショベルローダー、不整地運搬車、高所作業車の運転業務(※)
揚貨装置、クレーン、デリック、移動式クレーンの玉掛け業務
小型のボイラー又は小型の第1種圧力容器の取扱い業務
機械集材装置、ボーリングマシン、建設用リフト又はジャッキ式吊り上げ機械、動力駆動の巻上げ機などの運転業務
ゴンドラの操作業務
高圧室内作業の業務
研削といしの取替業務
アーク溶接機による金属溶接溶断業務
特定粉じん作業の業務
空気圧縮機を用いて自動車のタイヤに空気を充填する業務
動力駆動のプレス機械等のメンテナンス業務
産業用ロボットのメンテナンス業務
廃棄物の焼却施設のメンテナンス業務  など
尚、特別教育を行なった場合、その記録(受講者及び教育内容・時間など)を3年間保存しなければなりません。

(3)石綿作業従事者に対する特別教育
石綿障害予防規則により、石綿等が使用されている建築物の解体などの作業に従事する労働者に対しては、次に掲げる科目の特別教育の実施が義務付けられました。
石綿等の有害性
石綿等の使用状況
石綿等の粉じんの発散を抑制する為の措置
保護具(防じんマスク、保護衣など)の使用方法
その他石綿等の曝露の防止に関し必要な事項
ここで言う「石綿等」とは、その物の重量のうち石綿の重量が1%を超えて含有されている物を指します。

4.石綿吹き付け建材が使用されている建築物の管理
労働者を就業させる建築物において、石綿吹き付け建材が損傷又は劣化していることにより、労働者が石綿の粉じんに曝露するおそれが有る場合は、その石綿吹き付け建材の除去封じ込め囲い込みなどの措置を講じなければなりません。

ここで言う「除去」とは文字通りその石綿含有建材部分を完全除去することを指しますが、「封じ込め」や「囲い込み」とは次の措置を講じることを指します。
「封じ込め」とは?
石綿の表面に固化剤の塗膜を形成させる処理、又は石綿の内部に固化剤を浸透させる処理を行なうことにより、石綿の粉じんの発散を防止することを指します。
「囲い込み」とは?
石綿部分を非石綿建材で覆うことにより、石綿の粉じんの発散を防止することを指します。

5.有害な化学物質の取扱い業務の注意点
最近、有害な化学物質を原因とする業務災害が増加傾向にあることから、労働安全衛生法の改正により以下の規定が追加されました。
(1)有害な化学物質を取り扱う事業を行なう事業主は、「化学物質の危険性・有害性の調査とその結果に基づく措置の実施」を、安全衛生委員会の法定審議事項に追加し、安全管理者教育や職長教育の項目に含めなければなりません。
(2)大量漏洩により急性障害を引き起こす化学物質等を製造し、又は取り扱う設備の改造・修理・清掃(洗浄)等の仕事を発注する者は、労働災害防止の為に、当該化学物質の危険性・有害性及び作業時の注意事項などの情報を、文書で請負人に提供しなければなりません。





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愛知県名古屋市の社会保険労務士・行政書士 藤澤労務行政事務所