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    建設会社は建設業法にご注意を!

国土交通大臣又は都道府県知事から許可を受けて建設業を営む建設会社は、特に下請業者との関係において、労働基準法・労働安全衛生法などの労働法令の定めだけでなく、以下に述べる建設業法の定めにも注意しなければなりません。

元請業者に対する「下請業者の労働者への賃金支払」の勧告
例えば、1次下請業者が2次下請業者に下請代金を支払う前に倒産してしまった為、2次下請業者の労働者が賃金支払を受けられない場合、その建設工事の元請業者は、例え1次下請業者に対して下請代金の全額を既に支払っている場合であっても、国土交通大臣又は都道府県知事から、2次下請業者の労働者に賃金を支払うよう勧告を受ける場合が有ります。

なぜなら、建設業法第41条第2項に以下の定めがあるからです。
『 特定建設業者が発注者から直接請け負った建設工事の全部又は一部を施工している他の建設業を営む者が、当該建設工事の施工の為に使用している労働者に対する賃金の支払を遅滞した場合において、必要があると認めるときは、当該特定建設業者の許可をした国土交通大臣又は都道府県知事は、当該特定建設業者に対して、支払を遅滞した賃金のうち当該建設工事における労働の対価として適正と認められる賃金相当額を立替払することその他の適切な措置を講ずることを勧告することができる。』
(尚、この規定は、元請業者が一般建設業者だった場合は適用されません。)

下請業者の下請代金不払い等については、元請業者に対して以下の同条第3項の定めが適用されます。
『 特定建設業者が発注者から直接請け負った建設工事の全部又は一部を施工している他の建設業を営む者が、当該建設工事の施工に関し、他人(孫請以下の業者を含む)に損害を加えた場合において、必要があると認めるときは、当該特定建設業者の許可をした国土交通大臣又は都道府県知事は、当該特定建設業者に対して、当該他人が受けた損害につき適正と認められる金額を立替払することその他の適切な措置を講ずることを勧告することができる。』

上記の規定による行政庁の勧告に従わなくても罰則の適用はありませんが、行政庁から許可を受けて建設業を営む以上、余程の事由が無い限り、勧告に従った方が無難でしょう。


下請代金の支払いについての注意点
元請業者は、下請業者から工事完成の通知を受けたときは、その通知を受けた日から20日以内(且つ出来る限り短い期間内)にその工事完成の検査を完了しなければならず、その工事完成確認後に下請業者から申出を受けたときは、原則として直ちに当該建設工事の目的物の引渡しを受ける義務があります。

この場合、元請業者は、下請代金の支払いについて、以下の定めを遵守しなければなりません。
(1)元請業者が特定建設業者である場合
注文者から請負代金が支払われたか否かに関係無く、下請業者(但し、特定建設業者又は資本金4千万円以上の法人は除く)から目的物引渡しの申出があった日から50日以内(且つ出来る限り短い期間内)に下請代金を支払わなければなりません。
(違反した場合は、年14.6%の法定遅延利息の支払義務が発生しますのでご注意下さい。)
(2)元請業者が一般建設業者である場合
注文者から請負代金が支払われた場合に限り、一定期間内に下請代金を支払わなければなりません。

また、下請代金の支払い方法については、120日を超える手形による支払いは禁止されていますが、以下の定めにも注意する必要があります。
(1)出来る限り現金払いとし、手形払いと現金払いを併用するときは、下請業者の労務費相当分は必ず現金で支払わなければならない
(尚、下請業者との請負契約については、その見積段階で、工事の種別毎に労務費・材料費等の経費の内訳を書面で明らかにしなければならない。)
(2)手形払いについては、下請代金の支払期日までに一般の金融機関による割引を受けることが困難と認められる手形は交付出来ない。
(3)注文者から前払金の支払を受けたときは、下請業者に対して、当該建設工事着手に必要な費用を前払金として支払うよう適切な配慮をしなければならない。
(4)部分払い若しくは完成払いを行なう場合、注文者から請負代金の支払いを受けたときは、支払対象となった工事を施工した下請業者に対して、1ヶ月以内に相応する下請代金を支払わなければならない。


技術者等の人員配置における注意点
1.主任技術者・監理技術者について
建設業の許可を受けている建設業者は、元請/下請の別及び請負金額の多少に関わらず、建設工事現場毎に主任技術者を配置しなければなりません。
また、外注総額が3000万円(建築一式工事の場合は4500万円)以上となる建設工事、つまり施工体制台帳と施工体系図の作成・備付が必要な建設工事の元請を行なう特定建設業者は、先述した主任技術者に代えて監理技術者を配置しなければなりません。
この場合、主任技術者・監理技術者は、当該建設会社と直接且つ恒常的な雇用関係を有していなければなりませんので、出向労働者(一定の要件を満たす「親会社から連結子会社への出向労働者」を除く)や派遣労働者を主任技術者・監理技術者に選任することは認められていません

更に、公共性の有る工作物に関する工事で、請負代金が2500万円(建築一式工事の場合は5000万円)以上の工事の場合は、元請/下請を問わず、工事現場毎に専任の監理技術者・主任技術者を配置する義務があります。
営業所の専任技術者は工事現場の監理技術者・主任技術者を兼務することが出来ませんのでご注意下さい。

2.JV(建設共同企業体)で使用する労働者について
JVは一般的に民法上の組合の一形態と解釈されていますが、JVがJV全体で使用する労働者を雇入れる場合、労働局はJVを事業主とする雇用契約の締結を認めていません。
よって、この場合は、JVの代表会社がその労働者と雇用契約を締結することになります。
また、JVが派遣労働者を使用する場合、JVは派遣会社と労働者派遣契約を締結することが出来ますが、実際は、JVの代表者が当該JVの代表である旨を付記して契約するケースが一般的です。

JVで建設工事を請け負った場合、その構成員たる建設業者は、そのうちの1人を代表者として定め、仕事開始の14日前までに所轄の労働基準監督署に届出をしなければなりません。
もし、JVの建設工事現場で労働者が被災した場合、労働安全衛生法上の事業者責任は届出されたJVの代表者が負うことになりますが、届出が無かった場合は、当該JVの各構成員が負うことになります。


労働者派遣が可能な建設工事現場の業務の範囲について
「建設工事現場には労働者派遣が出来ない」と短絡的に考えている人がたまにいますが、必ずしもそうではありません。
労働者派遣法で労働者派遣が禁止されている建設業務とは、「土木、建築その他工作物の建設・改造・保存・修理・変更・破壊若しくは解体の作業、又はこれらの準備作業に直接関わる業務」を指し、それ以外の業務は、例え建設工事現場で行なう業務であっても労働者派遣が可能です。
例えば、一般事務、設計業務、積算業務、測量業務、施工管理業務(現場監督)などは、労働者派遣法上の建設業務には該当せず、労働者派遣を行なうことが出来ます。
但し、主任技術者・監理技術者や安全衛生責任者などは、その建設会社との間で雇用契約関係(常用労働者)若しくは委任契約関係(常勤役員)にある者でなければならない為、他社(派遣会社)の社員である派遣労働者を選任することは法律上認められていません。
(現場代理人も原則として自社の役員・社員でなければなりません。)

一人親方(個人事業者)が請負契約により現場監督を行なうケースをたまに見かけますが、元請業者との指揮命令関係から偽装請負に該当する可能性が非常に高い為、充分ご注意下さい。
偽装請負は違法な労働者供給(=職業安定法違反)に該当します。
よって、もし元請を行なう建設業者が職業安定法違反で労働局から処罰された場合、それは「建設業許可の欠格事由該当」を意味しますので、現行の建設業許可が取り消されるばかりか、5年間は建設業許可が受けられなくなります。





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愛知県名古屋市の社会保険労務士・行政書士 藤澤労務行政事務所