労働基準監督署の調査・是正勧告対応支援サイトのTOPページへ

       就業規則作成・届出の注意点

就業規則の作成・届出義務
常時10人以上の労働者を使用する事業所は、就業規則を作成して、労働者代表の意見書を添付した上で、所轄の労働基準監督署に届出をしなければなりません。
また、届出済みの就業規則の内容を変更した場合も同様に届出をしなければなりません。
(この法的義務に違反した場合は、30万円以下の罰金刑が科されます。)

ここで注意すべきポイントは以下の3点です。
1.常用労働者数は企業単位ではなく事業所単位で見る
就業規則は、原則として事業所(場所)毎に各々の所轄労働基準監督署に届出します。
但し、次に掲げる要件を全て満たした場合は、本社事業所で各支店・営業所の就業規則を一括して届出することが出来ます。
(1)本社事業所と各事業所の就業規則が同一内容、且つその旨の附記有り
(2)本社事業所以外の事業所の名称、所在地、所轄労働基準監督署を明記
(3)本社事業所と各事業所の数に応じた部数の就業規則を提出
(4)全ての事業所の労働者代表の意見書(正本)を添付

2.常用労働者の範囲に注意
常用労働者とは何も正社員だけを指すのではありません。 継続1年以上雇用するパートタイマーやアルバイトも原則として常用労働者となります。
但し、派遣労働者、業務請負人、雇用保険に加入出来ない会社役員や家族従業員は対象外です。

3.労働者代表の意見書は「就業規則に対する反対意見」でも構わない
労働者側から就業規則の内容に対する反対意見が多数出た場合でも、その規定自体が法律違反でない限り、就業規則は何ら問題無く労働基準監督署で受理されます。
但し、労働者の中から労働者代表を選任する時は、全労働者による投票又は挙手などの方法で、管理職以外の一般労働者の中から公正に選任する必要が有ります。


就業規則の必要記載事項
就業規則には、絶対的必要記載事項(必ず定めて記載しなければならない事項)と相対的必要記載事項(既に定めが有る場合又は新たに定める場合は記載が必要な事項)が有ります。
絶対的必要記載事項 相対的必要記載事項
始業/終業時刻、休憩時間
 (交替制勤務の場合は就業時転換に関する事項)
休日、休暇
毎月支払う賃金に関する事項
 (決定・計算・支払の方法、締切日・支払日、昇給)
退職に関する事項
具体的な解雇事由
臨時の賃金(賞与等)、最低賃金額
退職金に関する事項
 (対象者、決定・計算・支払の方法、支払時期)
食費、作業用品等の負担
職業訓練
安全衛生
災害補償、業務外傷病扶助
表彰又は制裁
全労働者に適用される事項

「市販の就業規則の雛形」を使って就業規則を作成すると、“労働者側の権利”と“会社側の義務”ばかりを定めた就業規則になってしまいます。
これは、市販本のほとんどが就業規則の名を借りた「労働法令の説明書」だからです。
これでは折角就業規則を作っても会社にとってマイナスの効果が生じるだけです。
就業規則を作成する時は、“労働者側の義務”と“会社側の権利”を中心に各規定を定めることが重要です。
また、労働法令に書かれていることは、わざわざ就業規則で定めなくても労働法令に書いてある通り労使間に適用されますから、労働法令の規定をそのままコピーした就業規則の規定は会社にとって無意味です。



就業規則作成時の注意点
就業規則を作成する時の注意点を以下に列挙します。
1.労働法令の条文丸写し(コピー)規定は必要最低限に!
労働基準法、育児介護休業法、男女雇用機会均等法などの条文丸写しの規定は、次に述べる理由から必要最低限にとどめるべきです。
(1)ご存知のように、労働法令は毎年のように改正されている為、法律の条文丸写しの規定を設けることは、法改正の度に改訂・変更が必要な就業規則になってしまう。
(2)労働者側の権利を定めた労働法令の規定をそのまま就業規則で定めても、会社にとっては何のメリットも無い。

2.労働法令の知識だけでは必要充分な就業規則は作成出来ません!
雇用契約に基づく労使関係は、“労使双方が有する債権・債務”を基礎としています。
一方で、労働法令は基本的に“使用者(会社)側に対する取締法規”ですので、そのほとんどの規定が使用者側の義務(債務)と労働者側の権利(債権)を定めているに過ぎません。
ですので、就業規則を作成する為には、債権・債務に関わる民法や民事執行法などの知識が当然必要になります。
また、場合によっては、所得税法、個人情報保護法、不正競争防止法などの関連法規の知識も必要になります。

3.各規定に対する適用範囲を明確に!
いくら附則で「パートタイマー(又は契約社員)就業規則」などを定めていても、就業規則の本則の方でそれらの者に対する適用除外規定を設けていないと、本則の規定がパートタイマーや契約社員にも適用されることになってしまいます。
充分ご注意下さい。
(余談ですが、就業規則で「○○○については労使協定で別途定める」と規定しますと、その労使協定も就業規則の一部(附則)になってしまい、労働基準監督署への届出が必要になりますのでご注意を!)

4.問題社員に対して“会社を守る就業規則”でなければならない!
ここで言う問題社員とは、「ズル休みが多い、又は就業態度が悪い労働者」、「年次有給休暇請求権を濫用する労働者」、「自己の非を省みず懲戒処分の不当性を訴える労働者」、「会社退職後に過去の未払残業代請求や不当解雇を訴えて来る労働者」などを指します。
労働基準監督署へ届出する就業規則には、こういった問題社員に対処する為の根拠規定を定めておくことが非常に重要です。





                                   戻る





愛知県名古屋市の社会保険労務士・行政書士 藤澤労務行政事務所