労働基準監督署の調査・是正勧告対応支援サイトのTOPページへ

  是正勧告への対応を怠った場合のリスク


法律違反は速やかに是正しなければならない
労働基準監督官の是正勧告は、法律上では行政指導に過ぎませんが、そこには必ず「法律違反の事実」があるはずですので、その速やかな是正措置を怠ることは、当然処罰(行政刑罰・逮捕・送検)の対象になりますし、民事上でも大きなリスクを背負うことになります。
ですので、「法律違反を犯している者は(法律で)保護されない」という大原則をまず認識する必要があります。


是正措置を講じる前に労災事故が起きた場合
是正勧告に対して速やかな対応を怠っているうちに、もしその是正勧告を受けている事項に関して労災事故が発生しますと、以下に述べるような2つの大問題が発生します。
1.被災者に支給された労災保険給付費用を負担しなければならない
労災保険法は、「政府は、労災保険給付の支給事由となった事故が、事業主の故意又は重大な過失によって生じたものである場合は、その保険給付費用の全部又は一部を事業主から徴収出来る」と定めています。
ですので、是正勧告を受けながらその速やかな是正措置を怠った場合は、まさにこの費用徴収規定に該当することになります。
2.被災労働者(又はその遺族)に対して損害賠償義務が発生する
最近の「事業主に対する労災事故の損害賠償請求訴訟」においては、事業主の不法行為責任ではなく、債務不履行責任(=労働安全衛生法の規定に基づく事業主の安全・健康配慮義務違反)が問われるケースがほとんどである為、被告たる事業主側に「債務不履行は無かった」ということの立証責任が負わされます。
(不法行為責任による損害賠償請求の場合は、その不法行為の立証責任は原告である労働者側になります。)
ですので、是正勧告を受けながら、その速やかな是正措置を怠った場合は、民事訴訟においても非常に不利な状況に追い込まれ、過失相殺の主張などはほとんど通らなくなります。
また、原告たる労働者側は、事業主が是正勧告を受けながらその速やかな是正措置を講じていなかったことの一点のみを立証すれば、事業主の不法行為責任を問うことも出来ます。


行政刑罰より怖い未払残業代の遡及支払命令
労災事故発生を除けば、是正勧告を受けた場合における最大の恐怖は、「過去の未払残業代の遡及支払命令」ではないでしょうか?
一般に残業代未払いの場合、行政刑罰だけを見ますと、未払いの残業代のうち追加賃金部分の未払に対しては労働基準法第24条(賃金全額払い義務)違反により「30万円以下の罰金刑」が科され、割増賃金部分の未払に対しては労働基準法第37条(割増賃金支払い義務)違反により「30万円以下の罰金刑又は6ヶ月以下の懲役刑」が科されます。
これを聞いて、「な〜んだ、60万円の罰金を払えば済むのか」と単純に考えてはいけません。
労働基準監督官は労働法令の司法警察官です。
最低でも過去3ヶ月分くらいの未払残業代の一括支払命令が下されます。
労働者数が多い事業所ですと一千万円単位の支払を命じられることもめずらしくありません。

更に、労働基準監督官から命じられた過去3ヶ月分の未払残業代を全て支払ったからといって、それで全ての問題が解決する訳ではありません。
なぜなら、取締法規上の問題解決と民事上の問題解決は別問題だからです。
労働者の賃金支払請求権は2年経たないと時効消滅しません。 
もし、労働基準監督官の是正勧告を契機に、労働者から過去の未払残業代の一括支払請求を受けた場合、過去2年前の分迄遡って(更に原則年6%の法定利息を付けて)労働者に支払う必要があるのです。

今迄サービス残業が恒常化していた事業所の場合は、即刻それを改めると共に、今一度、残業や休日出勤に対する社内の労務管理制度について、社会保険労務士など専門家の意見を参考にしながら、労使間でよく協議して、労働者側の合意(納得)を得た上で再構築することが重要です。





                                    戻る 





愛知県名古屋市の社会保険労務士・行政書士 藤澤労務行政事務所