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  法人代表者等の業務上傷病の取扱い

傷病に対する労災保険・健康保険の適用
傷病(死亡を含む)に対する労災保険と健康保険・国民健康保険の適用を分かり易く纏めると、以下の図表のようになります。
    労災保険 健康保険 国民健康保険
被保険者 被扶養者
業務上の傷病 ×
業務外の傷病 通勤上の傷病
私傷病 ×

【注意点】
(1)労災保険と健康保険(又は国民健康保険)の両方が適用される傷病に対して、労災保険給付を受けたときは、健康保険給付(又は国民健康保険給付)を受けることが出来ません。
(2)業務上の傷病に対して健康保険が適用されないのは被保険者だけで、被扶養者は業務上の傷病であっても健康保険の適用を受けることが出来ます。
(被扶養者の業務上の傷病が問題になるケースとは、例えばその被扶養者が自営業者等である場合です。)
(3)国民健康保険は、同業者で組織する国民健康保険組合(昭和48年以降は新規設立が認められていない)の場合を除き、傷病による療養期間中の休業補償制度は有りません。


一見して、「国民皆保険」のように思えますが、現行の公的医療保険制度の下ではどの公的医療保険も適用されない場合が有ることがお分かりでしょうか?
それは、法人代表者(又は業務執行者)の業務上傷病です。

「だから労災保険に特別加入している」とおっしゃる事業主の方もいるでしょうが、そもそも労災保険に特別加入出来る事業主は一定規模以下の中小事業主に限られ、あくまでも任意加入方式です。
また、後述するように、中小事業主が労災保険に特別加入したからと言って、仕事に起因する傷病の全てに対して労災保険給付が受けられる訳ではありません。


法人代表者等の業務上傷病の取扱い
法人代表者等が業務災害により傷病に罹患した場合の健康保険適用については、以下の有名な平成15年7月1日付け行政通達(保発第0701001号)があります。

法人代表者等の業務上傷病に対する健康保険適用(行政通達のポイント)
1.健康保険が適用される法人代表者等の3要件
(1)社会保険の被保険者数5人未満の事業所に所属
(2)一般労働者と著しく異ならない労務に従事
(3)労災保険の適用が受けられない
2.支給されない健康保険給付
上記1の(1)〜(3)を全て満たす場合であっても傷病手当金は不支給。
(これは、事業経営の責任を負う法人代表者等は、自らの報酬を決定すべき立場にあり、業務上の傷病による休業に対して報酬の減額等を受けるべき立場に無い為です。)

「なぜ、5人未満なのか?」との問いに対して、厚生労働省は「現行法上、5人未満の個人事業の事業主は社会保険加入義務が無い為国民健康保険加入であり、業務上/業務外を問わず国民健康保険給付が受けられる事とのバランスを考慮した」と回答していますが、現実には、5人以上の個人事業も社会保険加入が(法人のようには)強制されておらず、一律に「4人ならOKで5人ならダメ」という線引きを行なうことは如何なものか・・・と感じます。
また、「国民皆保険」に関わる重要な問題を、キチンと法律で定めず、お役所内の訓令に過ぎない行政通達のみで定めていることも甚だ疑問です。



労災保険特別加入も万能ではない
社会保険の被保険者数5人以上の法人事業所の代表者等が、業務上傷病に対して公的医療保険の適用を受けたい場合は、労災保険に特別加入する以外対処方法は有りませんが(但し、事業規模要件有り)、労災保険に特別加入した場合でも、以下のいずれかに該当する場合は労災保険給付が受けられませんので注意が必要です。
(1)特別加入申請時に労働局に届出した業務内容以外の業務に起因する傷病の場合
(2)事業主の立場において行なう事業主本来の業務に起因する傷病の場合
(3)一般労働者不在の所定労働時間外又は所定休日の業務中に起きた事故の場合






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愛知県名古屋市の社会保険労務士・行政書士 藤澤労務行政事務所