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    こんな就業規則の規定が危ない!
    (労使トラブルの原因となる規定)

就業規則でこんな規定を定めていませんか?
第○条(試用期間)
「新たに採用した者については入社日から○ヶ月間を試用期間とする。」

雇用契約期間を定めずに労働者を雇入れた場合、上記の規定のように試用期間を定めても、会社にとってはほとんどメリットが有りません。 なぜなら、「試用期間だから」という理由で安易に労働者を解雇出来る訳ではなく、雇用保険や社会保険への加入義務が免除される訳でもないからです。
実際の就労状況や勤務成績を見て正社員として採用するか否かを決定したい場合は、有期雇用契約を締結して労働者を雇入れる以外対処方法は有りません。 然も雇用契約期間を2ヶ月(以内)にして。
なぜ2ヶ月(以内)かと言いますと、「2ヶ月以内の雇用期間を定めて新たに雇入れられた者」は社会保険適用除外であり、もし解雇する必要が生じた場合も30日前の解雇予告や30日分の解雇手当支払が不要だからです。
(尚、雇用契約を更新せず雇用契約期間終了により雇止めすることは解雇ではありません。)

第○条(機密保持義務)
「社員は、会社又は取引先の機密を漏らしてはならない。これは会社を退職した後も同様とする。」


漏らしてはならない機密とは何ですか? こんな漠然とした定めで社員を拘束することは出来ません。
また、既に退職した元社員に対して「就業規則を守れ!」と言っても無意味です。
退職者に対しては、個別に機密事項と期間を特定した上で、機密保持契約を締結するか念書を取る必要が有ります。

第○条(家族手当)
「家族手当は次の扶養家族を有するの者に対して支給する。
配偶者 月額○万円、 18歳未満の子 1人につき月額○千円。」

家族手当の支給要件を満たす社員が1ヶ月間全く出勤しなかった場合、その社員に対して家族手当を支給するのですか? また、家族手当の支給を受ける社員が月の途中で自己都合退職した場合、その退職月についても家族手当を満額支給するのですか?
支給期間はいつからいつ迄ですか?(子が誕生した月、18歳に到達した月の取扱いは?)
家族手当や住宅手当など、“労務提供の有無に関係無く月額支給する諸手当”は、支給事由だけでなく、その支給期間、及び不支給事由や減額事由も具体的に定めておかないと労使トラブルの原因になります。

第○条(残業手当)
「残業手当は所定労働時間を超えて勤務した者に対してその超過時間に応じて支給する。」


あなたの会社では社員が勝手に残業をした場合でも、タイムカードなどに記録された時間に応じた残業手当を支給するのですか?
時間外勤務や休日勤務は会社の指示命令により行なうものであり、社員が勝手に居残り若しくは出勤した時間迄残業時間や休日出勤時間にする必要は有りません。
ですので、就業規則には「会社の指示命令により残業をした場合、又は残業をすることについて会社の承認を得た場合に限り、その残業時間に対して支給する」という支給条件を明示すると共に、社員には、必ず事前に、書面による残業時間の届出をさせることが重要です。
(要するに、「タイムカードに記録された時刻が、そのまま始業・終業時刻になる訳ではない」ということを予め就業規則で定めておく、ということがポイントです。)

第○条(定年)
「社員の定年は満65歳とし、定年に達した日の属する月の末日をもって退職とする。」


特に定年延長による助成金を受給するのでなければ、次に掲げる理由から、65歳定年ではなく、従来通り60歳定年とした上で“定年退職日の翌日再雇用”にすべきです。
定年延長を定めてしまうと・・・・・、
(1)60歳以降に賃金を下げた場合、社会保険においては月変処理になる為、社会保険料と老齢年金の在職支給停止に対して3ヶ月間のギャップが生じてしまう。
(2)60歳で中退共などの掛金納付を打ち切った場合、その社員には退職金が支給されますが、雇用関係が継続した状態で支給される退職金は“一時所得”になりますので税金面で非常に不利になります。

尚、満65歳に達した日とは、法律上「65歳誕生日の前日」を指します。
よって、上記の規定のような定め方をしますと、月の初日(○月1日)生まれの人は、誕生月の前月末日が退職日になってしまいますのでご注意下さい。

第○条(定年後の嘱託再雇用)
「60歳定年退職後に嘱託社員として再雇用する者の基準及びその手続きについては、労使協定で別途定める。」


高年齢者雇用安定法は、60歳定年後の再雇用(又は継続雇用)基準に関する労使協定について、“行政官庁への届出”までは義務付けていませんが、このように就業規則で「・・・・は労使協定で定める」と規定した場合、その労使協定も“就業規則の一部(=附則)”になってしまう為、労働基準法第89条の適用により、所轄の労働基準監督署へ届出しなければならなくなります。
これは、労働基準法では届出義務が定められていない「賃金控除の労使協定」、「年次有給休暇の計画的付与の労使協定」、「フレックスタイム制導入の労使協定」なども同様です。

第○条(解雇事由)
「○日以上の無断欠勤をした社員は解雇する。」


解雇は、相手(本人)に解雇の意思表示が到達しないと成立しません。
上記のような規定では、もし無断欠勤中の社員が行方不明になった場合、その社員を解雇することが出来なくなりますし、無断欠勤を続ける社員を解雇する為に30日前の解雇予告や30日分の平均賃金を解雇予告手当として支払うのも馬鹿らしいことです。
よって、就業規則には「○日以上の無断欠勤をした者は自己都合による退職の意思表示をしたものとみなし、退職の手続きを行なう」と定めておかなければなりません。

第○条(解雇事由)
「勤務成績又は作業能率が著しく不良で、社員としてふさわしくないと認められた者は解雇する。」


こんな曖昧且つ漠然とした規定では、実際に社員を解雇した場合、「不当解雇だ!」という労使トラブルの原因になるだけです。
「何を以って勤務成績や作業能率が著しく不良と判断されるのか?」に対する客観的な基準を具体的に(極力、数値化して)定めなければ解雇規定の実効性が有りません。
最大の労使トラブル原因は「解雇」です。
『会社が就業規則を作成する目的は、解雇事由と解雇手続の両面において、不良社員に対する解雇の正当性を担保することにある』と言っても過言ではありません。





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愛知県名古屋市の社会保険労務士・行政書士 藤澤労務行政事務所