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            介護施設職員の労務管理

介護施設における労働環境の特色
介護施設における労働環境には次のような特色が有ります。
(1)常勤職員、パート職員、契約職員、派遣職員、登録職員といった多様な雇用形態が併存している。
(2)勤務時間の24時間体制が要求される。
(3)介護保険制度施行前から存在する従来の社会福祉施設では、過去の都道府県監督部署の指導の影響による「公務員に準じた年功序列型賃金・人事制度」が残存している。
(4)最近は施設の在宅化を目的にしたユニット型施設への移行が進んでいる(⇒ユニット化すると、職員の人員配置基準で問題が生じるケースが有る)。
(5)介護職員の生産性向上と定着率向上が最大の経営課題になっている。



介護施設職員の労務管理のポイントと注意点
1.雇用形態毎の就業規則の作成が必要
一般の常勤職員(終身雇用が前提)とそれ以外の非常勤職員、パート職員、契約職員などを一つの就業規則で規律することは無理が有ります。
ですので、その雇用形態に応じた就業規則を個別に作成し、周知する必要が有ります。


2.介護職員に対する人事考課制度はまず管理職を対象に実施
介護職員の人事考課(評価)については、まずそれぞれの担当職務に対する「期待される職員像」が明確になっていることが重要です。
また、仕事の成果に対する人事制度を新たに導入する場合、いきなり全職員に対して制度を導入するより、まず管理職の職員に対する人事制度の確立を先に行なうべきです。
(なぜなら、一般職員の人事考課の中核を担う管理職の職員に対する人事制度がうまく稼動しないのに、全職員に対して新たな人事制度を導入しても、うまく行くはずが無いからです。)


3.顧客満足を軸にした教育訓練の実施
介護職員に対する教育訓練内容として、介護サービス技術、福祉用具の利用方法、高齢者疾患に対する医学的知識、衛生管理、緊急時の対応、介護事故防止といった内容も勿論重要ですが、福祉サービスは対人サービスですので、接客マナー、利用者の秘密保持、利用者とのコミュニケーションなどについての教育訓練が、施設経営の上では非常に重要になります。


4.介護施設の宿直勤務許可は非常に困難
介護施設において、介護職員に宿直勤務(=通常の深夜勤務時間より低額な賃金が設定されている夜間勤務)をさせる為には労働基準監督署の許可が必要です。
ただ、介護施設が宿直勤務に対する労働基準監督署の許可を受けることは非常に困難です。 なぜなら、介護施設では宿直勤務と通常の深夜勤務の区別が事実上出来ないケースが非常に多い為です。

因みに、労働基準監督署における「介護施設の宿直許可基準」の概要は以下のようになっています。
(1)常態としてほとんど労働する必要の無い勤務のみを許可の対象とする。
(2)具体的には、ごく少数に対する夜尿起こし・検温・オムツ替え等、軽度(概ね1勤務中に1〜2回程度)且つ短時間(概ね10分以内)の作業に限られる。
(3)要介護者等の身体を抱き抱えるなど身体に負担のかかる作業が必要な場合は、許可の対象にはならない。
(4)上記(1)〜(3)の条件を全てクリアする場合でも、通常勤務の延長で行なう場合は宿直勤務とは認められない。

尚、宿直手当の支給額については、宿直を行なう同種の職員に支払う所定給与額(時間外手当の計算の基礎になる固定給部分)の1人1日平均額の1/3以上でなければなりません。
(その職員の平均賃金(日額)の1/3以上ではありませんので、念のため。)


5.介護職員の3交替勤務を行なう場合
介護施設の3交替勤務については、継続24時間の休憩を以って休日とする特例が認められています。 但し、次に掲げる2つの条件を全て満たすことが必要です。
(1)番方編成の交替制が予め就業規則などに定められ、それが制度として運用されていること。
(2)各番方の交替制が規則的に定められており、勤務割表などによりその都度設定されるものではないこと。


6.常態として職員が総勢50人以上の施設の場合
産業医、衛生管理者を選任・届出し、衛生委員会を毎月開催する法的義務が有ります(衛生管理者は第2種衛生管理者免許取得者でもOKです)。
また、職員の健康診断結果を所轄の労働基準監督署に届出する必要が有ります。
この場合、深夜勤務従事者に対しては、原則として6ヵ月毎に定期健康診断を実施する必要が有りますのでご注意下さい。
尚、職員数が50人以上か否かを判断する時は、派遣職員(=他社の職員)なども含めて人数をカウントしなければなりません。





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愛知県名古屋市の社会保険労務士・行政書士 藤澤労務行政事務所