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        登録ヘルパーの労災事故と介護事故

登録ヘルパーの労災事故
一般に、介護作業は重労働であり、ホームヘルパーは中高年齢の女性が多い為、介護作業中にホームヘルパーがケガをするケースは実際によく起こります。
また、介護作業を続けるホームヘルパーが、腰痛症や脛肩腕症候群などに罹患するケースもよく見受けられるところです。
こういった介護作業に起因するホームヘルパーのケガや傷病罹患が発生した場合、それが介護事業者責任の労災対象になるのかどうか?が問題になる場合が多々有ります。

なぜなら、次に掲げるような問題が有るからです。
(1)ホームヘルパーの大半を占める登録ヘルパーは、その「労働者性の有無(=労働者か一人親方か?という区別)」において非常に曖昧なグレーゾーンに位置している。
(2)ホームヘルパーが労働者に該当する場合は、その仕事に起因するケガや傷病罹患は全て介護事業者の責任になるが、一人親方に該当する場合は、その仕事に起因するケガや傷病罹患は介護事業者の責任にはならない。


1.登録ヘルパーの労働者性の有無の判断基準
登録ヘルパーの労働者性の有無(=労働者に該当するか否か)については、その登録ヘルパーと締結した契約の名称が「雇用契約」と「委託(請負)契約」のいずれであったか、又はその登録ヘルパーに支払った金銭が労災保険料の算定対象賃金に含まれているかどうか、という単純な問題ではありません。

労災認定を行なう労働基準監督署では、被災者の労働者性の有無は、あくまでもその“就労実態”で判断されます。
つまり、次に掲げる(1)〜(3)の条件の全てに該当する場合に限り、その登録ヘルパーは“一人親方”として労働者性が否定されるのです。
(逆の言い方をしますと、次に掲げる条件のいずれかに非該当となる場合は、その登録ヘルパーは「介護事業者に雇用される労働者」ということになり、仕事に起因するケガや傷病罹患は、業務災害として全て介護事業者の責任になる、ということです。)
(1)登録ヘルパーが他の介護事業者に掛け持ち登録することが認められている。
(2)登録ヘルパーに仕事を受諾するか拒否するかの決定権が有る。
(3)仕事で使用する移動用自動車や介護用器具などは、全て登録ヘルパー自身が調達している(介護事業者が調達・貸与している物ではない)。


2.一人親方の登録ヘルパーに対する労災保険特別加入制度
一人親方の登録ヘルパーは委託事業主が加入する労災保険を使うことが出来ませんので、仕事中のケガなどに対して労災保険の適用を受けたい場合は、自ら労災保険に特別加入する必要が有ります。
労災保険に特別加入する場合は、介護作業従事者の特別加入者団体を通じてその加入手続きをしなければなりません。
一般に特別加入者団体は、「○○○○介護家政婦団体」、「○○○介護作業従事者団体」といった名称になっており、都道府県労働局に問合せをすれば紹介が受けられます。
尚、労災保険に特別加入する場合の労災保険率は、年間賃金額の7/1000です。


3.介護労働安定センターの傷害補償制度
介護労働安定センターには介護事業者が加入する傷害補償制度が有ります。
この制度は、1人当たりの保険料が月額数百円と非常に安く、介護作業中のみならず、利用者宅への移動中及び研修受講中のケガなども補償対象になります。
以下に、この制度の概要を列挙します。
(1)対象は介護事業者に雇用される労働者のみで、一人親方は対象になりません。
(2)事故日から180日以内の死亡・後遺障害・入院・手術・通院が対象になります。
(3)同一の事由により労災保険給付などが支給された場合でも支給調整は有りません。
(4)居宅サービスのうち訪問リハビリ・通所リハビリ・居宅療養管理指導は対象外です。
(5)医療従事者は原則として訪問看護専従者以外は対象外です。


4.ホームヘルパーの使用車両について
介護保険関連車両の駐車許可申請は、利用者宅へ行った際の駐車予定場所を管轄する警察署に対して行なう必要があります。
駐車許可申請時の主な提出書類は、指定通知書の写し、ヘルパーの運転免許証の写し、使用車両の車検証の写し、訪問先一覧、駐車場所及び周辺の見取り図、借り上げ車両の契約書等です。
尚、事業所の車両が5台以上になった場合は、事業所を管轄する警察署に対して、安全運転管理者の選任届を提出しなければなりません。



介護事故は最大の経営リスク
介護事故とは、介護サービスの利用者宅における物品破損、利用者のケガ・誤嚥、違法行為(頼まれ注射、無資格者の薬投与など)による事故、利用者又はその家族の権利侵害(秘密漏洩、盗難など)といった介護作業に付随して発生する事故を指します。

介護事故は、介護事業者にとって苦情処理における最大の懸案事項であり、一つ対応を間違うと非常に大きな経営リスクになるケースが多い為、迅速且つ丁寧な対応をするのは勿論のこと、こういった介護事故が起きないように、常日頃から介護作業従事者に対する教育訓練・指導を徹底して行なうことが何よりも重要です。
(特に、利用者宅へ訪問中のヘルパー1人で行なう入浴介助中の事故や誤嚥事故は要注意です。)

介護事故を防止する為には、
(1)介護作業従事者同士のミーティングを出来る限り頻繁に行ない、各利用者の特徴(性格)や過去の事故事例などに対する情報の共有化を図る。
(2)事故には至らなかった「ヒヤリ、ハット事例」についても、業務日誌等への記録を徹底させる。
(3)介護作業マニュアルを整備し、雇入れ時及び定期的に教育訓練を実施する。
(4)利用者と締結する介護サービス提供契約において、利用者側の故意又は重大な過失による介護事故に対する免責、及び不可抗力による介護事故に対する免責などを明確に規定し、利用者側にその免責事由をシッカリと事前説明しておく。
といった常日頃の対応が必要です。





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愛知県名古屋市の社会保険労務士・行政書士 藤澤労務行政事務所