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      訪問介護員(ホームヘルパー)の労務管理

訪問介護の労働市場と介護サービス需要の特徴
訪問介護員(ホームヘルパー)の労働市場については以下の問題が有ります。
(1)ホームヘルパーの有資格者のうち、実際に介護作業に従事する者は全体の2割程度である為、慢性的な人材不足状態に陥っている。
(2)ホームヘルパーは肉体的にも精神的にも重労働であり、1年未満で辞めて行く早期離職者が非常に多い。
(3)個々のホームヘルパーの介護技術のバラツキが非常に大きく、勤務可能時間及び勤務可能エリアについても制約と偏りが有る。

一方で、介護サービス需要には以下の特徴が有ります。
(1)利用量の変動(繁簡の差)が大きく、その予想がつきにくい。
(2)特定の時間帯に利用者が集中する傾向が有る。

よって、ほとんどの介護事業者は、常にヘルパー募集を強いられ、利用量の変動に対する人件費の固定費化のリスクを最小限に抑える為、極力多数の登録ヘルパーを確保することに腐心することになります。



訪問介護員(ホームヘルパー)の労務管理のポイント
こういった介護サービス業界特有の環境の中で、常勤ヘルパーと登録ヘルパーの労務管理を如何に行なうべきか? そのポイントと注意点を以下に列挙します。

1.1ヶ月単位の変形労働時間制の導入
常勤ヘルパーの所定労働時間については、毎月、需要の変動に応じた所定労働時間の組替えが可能な1ヶ月単位の変形労働時間制を導入すべきです。
但し、変形労働時間制を導入した場合、休日振替に対する割増賃金支払を発生させない為には、同一週内で休日振替を行なう必要があるので注意が必要です。


2.ヘルパーの勤務評価は2つの側面から実施
ヘルパーの定着率を向上させる為には、その勤務成績に応じた思い切った処遇(賃金アップなど)が必要ですが、ヘルパーの勤務評価は次の2つの側面から行なう必要が有ります。
顧客満足度(利用者からの評判)
 (定期的にヘルパーに同行し、実際にその仕事ぶりをチェックすることも重要)
業務日誌(報告書)の内容、及びミーティング時の言動


3.最低月2回程度はヘルパー同士のミーティングを実施
このミーティングを行なう目的は次の通りです。
孤立化し易いヘルパー間のコミュニケーション向上
 (ヘルパーが抱える悩みや問題の解消)
事故(トラブル)事例や各利用者の特徴など、情報やノウハウの共有化
新たな顧客ニーズ開拓による新規の横出しサービスメニュー創出
個々のヘルパーの知識、技術の向上


4.ヘルパーの労働時間管理に関する注意点
次に掲げる時間は全て労働時間に含めなければなりません。
移動時間(但し、完全な自由が保障されている直行・直帰時間を除く)
業務日誌(報告書)等の作成時間
事実上義務化されている研修時間
 (例:受講しないと何らかの不利益が有る場合など)
完全な自由利用が保障されていない待機時間


5.ヘルパーが利用者宅への移動中に交通事故を起こした場合
例え一人親方に該当する登録ヘルパーが、ヘルパー自身が所有する自動車で移動中に交通事故を起こした場合でも、介護事業者は原則としてその事故の相手方に対して運行供用者責任を負うことになりますのでご注意下さい。
また、一人親方に該当する登録ヘルパーが利用者宅で介護事故を起こした場合も、介護サービス提供契約の主体(当事者)はあくまでも介護事業者ですので、介護事業者がその介護事故の責任を負うことになります。


6.利用者都合の仕事キャンセルが発生した場合
利用者の都合により仕事がキャンセルされ、そのヘルパーが休業することになった場合は、“介護事業者都合の休業”に該当する為、そのヘルパーに対して平均賃金の6割以上の額を休業手当として支払わなければなりません。
また、介護事業者は、利用者からの仕事のキャンセルに加えて、登録ヘルパーからの仕事のキャンセルという二重のリスクを背負っていることを常に意識して、ヘルパーの勤務体制表を作成する必要が有ります。


7.有能なヘルパーの流出防止と時間帯による時間給設定
特に他のヘルパーに対する指導者的な役割を果たす有能なヘルパーは、介護事業者にとっては貴重な財産(人財)です。
こういった有能なヘルパーが退職することは大きな損失になりますので、賃金や賞与などの面でそれなりの処遇をしなければなりません。
また、ヘルパー全体に対しては、繁忙の時間帯と閑散の時間帯で、その時間給に思い切った格差を設けることも、ヘルパー確保の平準化の為には有効な手段になります。





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愛知県名古屋市の社会保険労務士・行政書士 藤澤労務行政事務所