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      合同会社(日本版LLC)と
     有限責任事業組合(日本版LLP)

合同会社制度が制定された背景
今迄の日本の会社形態は、「出資者が有限責任を負う物的組織(株式会社・有限会社)」と「構成員が無限責任を負う人的組織(合名会社・合資会社)」の2種類しか存在しませんでした。
特に、日本の会社組織の大半(約97%)を占める株式会社・有限会社は、“物(資本)”が有るからそれを活用して利益を生み出せる、という考え方に基づいており、たくさん“物(資本)”を提供した人が会社経営に対する決定権を持つ、という仕組みになっています。

ところが、ビジネス(商売)の方法や態様が多様化した現在においては、“物(資本)”よりも“人(特定の個人)”が有する専門的な技術や知識(ノウハウ)が会社の利益を生み出す、というケースが出てきました。
そういった最近のビジネス(商売)事情の中で、「資本を出資した人」と「専門的な技術や知識(ノウハウ)を提供した人」を同列に並べて会社の利益配分が出来る会社組織の必要性が叫ばれ、その結果誕生したのが合同会社です。
合同会社は、今迄の日本には無かった「有限責任の人的組織」による会社形態なのです。


合同会社(日本版LLC)とは?
合同会社とは、法務省が管轄し、平成18年5月に施行された会社法に規定された新しい会社形態です。
会社法では、会社の類型を大きく「株式会社」と「持分会社」の2つに分けていますが、この持分会社の中に、従来から有る合名会社、合資会社と、今回新設された合同会社の3形態が有る、という位置付けになっています。

株式会社は、会社への出資額に応じて経営に対する決定権や利益配分が決まる会社形態ですが、持分会社は、出資額の多少に関わらず、経営に対する意思決定や利益配分のやり方を定款で自由に定めることが出来る「組合方式」の会社形態です。
尚、持分会社の3形態の違いは以下に述べる通りです。
・合名会社→出資者全員が無限責任を負う会社形態
・合資会社→無限責任を負う出資者と有限責任を負う出資者が混在する会社形態
・合同会社→出資者全員が有限責任を負う会社形態
(合同会社は、有限責任会社であるが故に、債権者などに会社の財務内容を開示する義務を負います。)

合同会社という会社形態は、日本の政府(管轄官庁)や有識者が考案したものではなく、欧米諸国に従来から有る会社形態の模倣に過ぎませんが、アメリカではこういった出資者の内部自治を認めた有限責任会社をLLC(=Limited Liability Company)と呼ぶ為、合同会社は通称「日本版LLC」と呼ばれています。

アメリカでは、LLCは法人格を有さず、パススルー課税が適用される為、80万社以上のLLCが有ると言われています。


合同会社は、「お金(資本)を提供出来る人」と、お金は持っていないが「専門的な技術・知識(ノウハウ)を提供出来る人」が共同で事業を始める場合などに適した会社形態だと言えます。


LLCと類似しているLLP(有限責任事業組合)
合同会社(日本版LLC)とよく混同されがちな組織形態に、有限責任事業組合(日本版LLP)というものが有ります。
LLP(=Limited Liability Partnership)は、経済産業省が管轄する「有限責任事業組合契約に関する法律」に規定された新しい組織形態です。
この法律は、先述した「新会社法」に先駆けて平成17年8月からの施行となりましたので、日本版LLPは日本版LLCより一足早く世の中に登場することになりました。

有限責任事業組合(日本版LLP)は、先述した合同会社と同様に、欧米諸国に従来から有る組織形態の模倣に過ぎませんが、日本の場合は、従来の民法上の任意組合(構成員は無限責任を負う)の特例という位置付けで制定された為、有限責任事業組合を設立しても法人格を取得することは出来ません。
ただ、構成員の事業責任が有限責任であること、及び構成員の事業運営に対する内部自治が認められた組合方式であることにおいて、人(特定の個人)の技術や知識(ノウハウ)を活かす研究開発事業などには非常に適した組織形態です。

イギリスでは、LLPは法人格を有する組織体です。


合同会社と有限責任事業組合の違い
合同会社(日本版LLC)と有限責任事業組合(日本版LLP)の違いはどこにあるのでしょうか?
両者の最大の違いは適用される税制にあります。
合同会社は、株式会社などと同様に「法人」である為、会社の利益には法人税が課税され、更に会社から利益配分(配当)を受けた出資者個人にも課税される、という二重課税が適用されます。
ところが、有限責任事業組合は、先述しましたように「法人」ではない為、組合に法人税は課されず、その構成員への利益配分(配当)に課税されるだけです。
これを「構成員課税」と言いますが、構成員課税のメリットは、有限責任事業組合の事業が赤字の場合、構成員が自身に課される課税と「損益通算」が出来る、という点に有ります。
つまり、有限責任事業組合の構成員は、自身の課税所得から組合の赤字分を控除することが出来るのです。
但し、自分の課税所得と損益通算出来るのは有限責任事業組合への出資額迄、という規制が有るのでご注意下さい。

また、事業が軌道に載って、「(普通の)株式会社にしたい」と思った場合、合同会社は株式会社に組織変更することが出来ますが、有限責任事業組合は株式会社への組織変更が出来ません。
更に、有限責任事業組合は、その契約書で当該LLP契約の存続期間を定めなければならず、その存続期間は登記されますので、当初の組合存続期間を超えて事業を行なう場合は、登録免許税を支払って変更登記手続きをする必要が有ります。
ですので、ある程度永続的に事業を行なう場合は合同会社の方が適しており、期限を定めた研究開発などの短期的なベンチャー事業を行なう場合は有限責任事業組合の方が税制面で有利だと言えそうです。





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愛知県名古屋市の社会保険労務士・行政書士 藤澤労務行政事務所