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   会社法対応の定款に関する注意点

定款の相対的記載事項の増加
定款に記載する事項には、
1.絶対的記載事項(一つでも記載が欠けていると定款全部が無効になってしまう事項)
2.相対的記載事項(定款に記載しないと法的効力が生じない事項)
3.任意的記載事項(簡単に変更出来なくする為に敢えて定款に記載する事項)
の3つが有りますが、会社法施行により、この中の相対的記載事項が大幅に増えました。
・・・と言うことは、「定款の規定が今まで以上に重要度を増した」と言うことが出来ます。
要するに、「定款に敢えて規定を置かないと、会社法の恩恵が受けられない場合が有る」ということです。

会社設立時の定款(原始定款)の絶対的記載事項は、以下の通りです。
(1)商号、(2)目的、(3)本店所在地、(4)発行可能株式総数、(5)設立に際して出資される財産の価額又は最低額、(6)発起人の氏名又は名称及び住所


これから定款を作成する場合は、単純に「市販本の定款雛型」を丸写しするのではなく、自社の機関設計、総会(及び取締役会)での議決要件などについて、「本当にこれで良いのか?」ということをよく考えて、定款の規定を一つ一つ確認しながら作って行くことが肝要です。


定款の規定における注意点
このサイトは「小規模な非公開会社」を対象にしていますので、小規模な非公開会社(株式会社)にとって有益と思われる定款の規定や注意点について、以下にいくつか列挙します。

(1)取締役会、監査役(又は会計参与)の設置の有無
従来の株式会社は、取締役会及び取締役3人以上、監査役1人以上が必須でしたが、会社法の下では、株式会社の必須機関は株主総会と取締役1名だけです。
ですので、取締役会や監査役(又は会計参与)を置く場合に限り、それを定款に定めることになります。
尚、取締役会を置く場合は、従来通り取締役3人以上且つ監査役(又は会計参与)1人以上が必要で、この場合は、個々の取締役は会社の機関とはなりません。
また、株式の譲渡及び役員の利益相反取引の承認機関は、取締役会を置かない場合は株主総会ですが、取締役会を置く場合はその取締役会となります。
(但し、株式譲渡承認機関を代表取締役1人とすることも可能。)

(2)役員の任期の定め
会社法の下では、株式譲渡制限会社(非公開会社)であることを条件に、役員の任期を最長10年まで伸長出来ますが、無条件に「任期は10年」としてしまうのは考え物です。
特に、普段は疎遠な親戚を取締役にする場合、又は営業許可を取得する為にその許可要件を満たす知人・友人を取締役にする場合は、将来その人との仲が険悪になっても原則として10年間はその人を解任出来ない、ということに留意する必要が有ります。
尚、定款で役員の任期を定めない場合は原則の2年が適用されます。

(3)株券発行の有無
従来の商法では「原則株券発行」でしたが、会社法では「原則株券不発行」です。
よって、定款で敢えて「当会社は株券を発行しない」旨を定める必要は有りません。

(4)1株の金額と発行可能株式総数
現在は1株5万円以上という制限は有りませんし、株式譲渡制限会社の場合は発行可能株式総数の4倍制限も有りませんが、1株の金額や発行可能株式総数は、将来の増資見通し(計画)を考慮して妥当性の有る数値にしておく必要が有ります。
尚、会社法の下では、会社設立時の発行株式総数の記載は不要で、会社の資本金の最低額を定款に定めることで足ります。

(5)一般承継株主に対する株式売渡し請求の定め
従来の商法では、定款に株式の譲渡制限規定を置いていた場合でも、株主の死亡を原因とした一般承継による相続人への株式移転を制限することは出来ませんでした。
(要するに、株式譲渡制限会社であっても、会社にとっては不本意な株主が突然登場することが起こり得たのです。)
これが会社法では、「株式会社は、相続その他の一般承継により当該株式会社の譲渡制限株式を取得した者に対し、当該譲渡制限株式を当該株式会社に売り渡すことを請求出来る旨を定款で定めることが出来る」という規定が新設されましたので、これを定款に定めない手は有りません。

(6)自社株式取得時に他の株主からの売主追加請求を排除する定め
ある株主から自社の株式を買い取る場合、その株式の売主以外の他の株主全員に「自分も株式の売主に加えて欲しい」旨を請求することが出来る為、場合によっては会社にとって不都合が生じるケースが有り得ます。
こういった問題を未然に防ぐ為には、定款において、「他の株主の売主追加請求(=自分も売主に加えてくれ、という請求)」を出来なくする定めを置く必要が有ります。

(7)株主総会の議決要件
会社法の下では、定款の定めにより、株主総会の議決要件を一定の範囲で任意に加重又は緩和出来るようになりました。
ただ、小規模な非公開会社の場合は、「オーナー経営者1人(又は配偶者を加えた2人)で会社に関する重要事項は何でも自由に決められる」という形にしておくのが無難でしょう。


定款で使用する語句の変更
従来の商法、有限会社法、商法特例法といった法律が会社法に一本化されたことに伴い、定款などで使用する法律上の文言も、以下のように変更になっています。
ですので、これから新たに定款を作成する会社は、会社法に対応した語句(文言)を用いて定款を作成すべきです。
旧法 会社法
発行する株式の総数 発行可能株式総数
新株の発行 募集株式の発行
登録質権者 登録株式質権者
営業年度 事業年度
営業の譲渡 事業の譲渡
総株主 議決権を行使することが出来る株主
権利を行使すべき株主 権利を行使することが出来る株主
(代表取締役の)選任 (代表取締役の)選定
(代表取締役の)解任 (代表取締役の)解職
(取締役の)報酬 (取締役の)報酬等
利益の配当 剰余金の配当






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愛知県名古屋市の社会保険労務士・行政書士 藤澤労務行政事務所