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        会社法の概要

約半世紀ぶりの商法大改正
従来、会社に関する法律は、商法(第2編)、商法特例法、有限会社法といった、いくつかの法律に分散されて規定されていました。
それが今回の法改正により、「会社法(及びそれに伴う整備法)」として一本化され、平成18年5月1日に施行されました。
これにより、読み辛いカタカナ文語体の条文は姿を消し、全て口語体の条文に生まれ変わると共に、各々の会社が経営環境や国際情勢の変化に対して迅速且つ柔軟に対応出来るように会社制度の見直しが図られたのです。

会社関連の法律は、今迄も毎年のように改正されてきましたが、今回の法改正は従来の会社制度を根本的に変更する大改正であり、大きくまとめると、変更点は以下の3点になります。
.会社形態の変更
.会社機関(取締役・監査役など)の規制緩和
.会社設立手続きの簡素化


会社形態の変更
会社法の施行により、有限会社の新規設立、有限会社への組織変更は出来なくなりました。
と言っても、既に設立済みの有限会社は、現行の有限会社制度をそのまま存続出来ますので、従来通り決算等の公告は不要で会社役員の任期も定める必要は有りません。
一部には、「現行の有限会社制度の存続は経過措置である為、いずれは株式会社への移行期限が設けられる」という意見が有りますがどうでしょうか?

「今後○年以内に既存の有限会社も全て株式会社に移行!」という考え方は、如何にも“役人的発想”であり、私は、個人的な意見ではありますが、次に述べる3つの理由から「有限会社は将来も無くならない」と考えています。
(1)日本に存在する会社の6割以上、株式会社より遥かに多く、約188万社を数える有限会社の全てに対して株式会社化を強制することは、いくら一定の期限を設けても現実的に困難である。
(2)「有限会社○○○」から「株式会社○○○」へ変更する為には、会社の看板・広告などから書類・伝票類に至るまで全て変更しなければならず、社名変更と同様にかなりのコストがかかる。
これを国の施策が変わったからと言って、全ての有限会社に強制出来るはずがない。
(3)「有限会社○○○」という商号そのものが、対外的に伝統有る屋号となっている会社が多数存在する。

但し、有限会社に対する法的なルールが、可能な範囲で、徐々に株式会社と同レベルまで引き上げられる可能性は大いに有ると思います。
また、会社法の下では、有限会社制度は「その役目が終わった(だけど会社の数が多過ぎて制度自体は無くせない)」という位置付けなので、今後、法改正により会社にとってメリットの有る制度が新設された場合、整備法の適用を受ける有限会社はその新制度の恩恵を受けられない、ということになるかも知れません。


尚、会社法施行後に、従前の有限会社を株式会社へ組織変更する場合、後述するように会社法では最低資本金規制が完全撤廃されますので、増資をせずに株式会社へ組織変更することが出来るようになります。

会社法では、人的会社として、従来の合名会社・合資会社に加えて、有限責任の「合同会社(日本版LLC)」が新設されます。
合同会社(日本版LLC)」について知りたい方はコチラをどうぞ。


会社機関に対する規制緩和
従来の商法では、株式会社の場合、取締役3名以上(任期2年)、監査役1名以上(任期4年)の設置が義務付けられていましたが、会社法の下では、定款で「株式の譲渡については取締役会の承認を要する」旨を定めた株式譲渡制限会社であることを条件に、取締役は最低1名置けば良く、その任期も最長で10年迄延長出来るようになりました。
また、株式譲渡制限会社の場合は、監査役の設置は任意となり、監査役を置く場合であっても、その任期は取締役と同様に最長で10年迄延長出来るようになりました。

役員の任期延長(2年→10年)については、定款でその旨の定めが必要です。
また、会社法における株式譲渡制限会社とは全ての株式について譲渡制限を設けていることが条件になります。


更に、株式譲渡制限会社の場合は、取締役会の設置も任意となり、監査役を複数人置く場合は監査役会を設置することが出来るようになり、監査役の代わりに会計参与(社外の公認会計士又は税理士)を置くことも認められます。

取締役会を設置する場合は従来通り取締役を3名以上、監査役(又は会計参与)を1名以上置く必要があります。
(株式譲渡制限会社以外の会社は、従来通り取締役会と監査役の設置義務が有りますが、監査役会の設置は任意です。)


前述しましたように、会社法の下では、特に中小企業の場合は取締役会を設置しない会社が多数出てくることが予想されますが、取締役会を置かない会社の場合は、全ての事項が株主総会で決議出来るようになり、株主総会の権限が強化されます。
更に、株主は単独で総会への議案提出権を行使出来るようになります。
また、手続きの面でも、総会招集通知は書面以外の方法でもOKとなり、総会開催場所も本店所在地又はその隣接地という規制が撤廃され、どこでも開催出来るようになります。


会社設立手続きの簡素化
会社法の下における会社設立手続きに関する主な変更点は次に掲げる通りです。
(1)株式会社の最低資本金規制(資本金1000万円以上)が完全撤廃された。
平成15年2月施行の「新事業創出促進法」の特例で始まった1円会社制度が恒久化された為、有限会社から株式会社へ組織変更する場合も増資する必要が無くなりました。

(2)類似商号規制が撤廃された。
従来の類似商号規制は、事前調査が面倒な割には、その効果が同一市区町村(最小行政区域)内に限られ、その実効性に乏しいことから廃止されました。
今後は、類似した商号を使用した会社の存在により損害を受けた場合は、その商号の登記の有無に関係無く、不正競争防止法などに基づいて訴訟を提起することになります。

(3)会社設立時の銀行による出資金保管証明が不要となった。
これから会社を設立する人にとって、この改正が一番朗報ではないでしょうか。
会社法の下では、現行の確認会社(1円会社)設立の場合と同様に、銀行の残高証明(普通預金通帳のコピー)だけで足りるようになりましたので、銀行に対して出資金保管証明書の交付手数料を支払う必要が無くなりました。
但し、銀行の残高証明でOKとなるのは、発起人が発行株式の全てを引き受ける発起設立の場合に限られ、発行株式の一部に対して株主募集する募集設立の場合は、従来通り銀行の出資金保管証明が必要ですので注意が必要です。

(4)現物出資の規制が緩和された。
従来は、現物出資の額が資本金の1/5を超えるか、又は500万円を超える場合は検査役の調査及び証明が必要でしたが、会社法の下では、現物出資の額が500万円を超える場合に限り検査役の調査及び証明が必要、という様に規制が緩和されました。
この改正により、資本金500万円の会社が500万円全て現物出資で賄うことも出来る訳で、特に資本金の小さい会社の場合は、現物出資がやり易くなると思われます。


「特例有限会社」と「会社法施行後の株式会社」の比較
会社法施行により、株式会社に対する法的規制がかなり緩和されました。
一方で、会社法施行前に設立された有限会社は、会社法施行後は特例有限会社(但し法律上では株式会社)としてそのまま存続出来ることになっています。
では、“特例有限会社”と“新会社法の下で規制緩和された株式会社”ではどちらが有利なのでしょうか?

現時点における会社法施行後の種々の法的規制を比較しますと、特に家族的(閉鎖的)な中小零細企業の場合は、「当面は特例有限会社のままで行く方が絶対に有利」です。
会社法の下で株式会社に対する法的規制が緩和されたと言っても、今迄事実上、無法地帯と化していた決算公告義務の履行は逆に取締りが強化される見込みですし、役員変更登記(その都度、手間と費用がかかる)が不要になった訳でもありません。
これが特例有限会社の場合ですと、決算公告義務は有りませんし、取締役の任期も有りません。
また、今後徐々に特例有限会社に対する法的規制が強化されることも予想されますが、特例有限会社から株式会社への変更は“商号変更”するだけでいつでも出来ますので、今後も(再度法律が大きく改正されない限り)特例有限会社のままで行く方が得策だと思われます。





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愛知県名古屋市の社会保険労務士・行政書士 藤澤労務行政事務所