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   従業員を募集・採用する時の注意点

求人募集に対する法律上の注意点
従業員の求人募集をする場合、思いの他、様々な法律の規制を受けます。
また、ご存知のように、「そんな法律の規定が有るとは知らなかった」と言ったところで、法律違反が免責されることは有りませんので注意が必要です。
以下に、求人募集に対する主な法律の規定を列挙しますので、今一度ご確認下さい。
1.雇用対策法による規制
従業員の求人募集をする時は、原則として年齢制限を設けてはいけません。
但し、これは企業の努力義務を定める規定ですので、合理的な理由が有る場合は、特定の年齢層に限定して求人募集をすることが出来ます。
2.男女雇用機会均等法による規制
「女性は自宅通勤者優先」、「男性向けの仕事」といった表現は駄目です。
また、「男性5名、女性5名の募集」、「営業マン募集」といった表現も法律違反です。
この場合は、それぞれ「男女10名の募集」、「営業職募集」とする必要があります。
要するに、男性と女性で採用を分けない、一方の性のみを表現する名称で募集しない、という2点がポイントです。
3.職業安定法による規制
求職者に誤解を与えるような虚偽の求人広告を出すと処罰されます。
(具体的には、6ヶ月以下の懲役刑又は30万円以下の罰金刑です。)
ですので、営業職募集に対する過度の(実際には有り得ない)歩合給提示、親会社の名前(信用)を使った求人募集などは注意が必要です。

また、面接を行なう場合、又は履歴書などを提出させる場合は、その採用可否決定に必要な範囲で求職者の個人情報を収集・保管・使用しなければなりません。
更に、次に掲げるような個人情報を採用可否決定目的で収集することは禁止されています。
親の職業、家族構成、本籍など求職者本人に責任の無い事項
思想や信条、愛読書、尊敬する人物など求職者のプライベートに関する事項


採用に対する法律上の注意点
職安など行政官庁のパンフレットには「採用は公平に!」、「就職差別は厳禁!」など、様々な採用に関するルールが書かれていますが、求人応募者の中から実際に誰を採用するか?はその企業の経営上の問題であり、行政官庁の関与は“大きなお世話”です。

この点について、実際の訴訟における判例でも、以下に掲げる最高裁判所の判例にあるように、憲法に規定される「(私企業の)経済活動の自由」に基づく「採用(雇用契約締結)の自由」が絶対視されています。

(1)「使用者が、特定の思想・信条を有する者を、“その故をもって”雇入れを拒否しても、それを当然に違法とすることは出来ない。(最判 昭48・12・12 三菱樹脂事件)」

(2)「“労働組合員であることを理由に”採用を拒否しても、特段の事情が無い限り、労働組合法に規定する不当労働行為にも、労働組合員に対する不利益取扱いにも当たらない。(最判 平15・12・22 JR採用差別事件)」
但し、採用可否の決定はその企業の自由ですが、従業員を採用する場合は、次に掲げる法律の規定を遵守しなければなりません。
1.労働基準法の規定に基づき労働条件を明示しなければならない。
絶対に「書面」で明示しなければならない事項は次に掲げる7点です。
(1)雇用契約期間
   (雇用期間を定めない雇用契約も当然OKです)
(2)就業の場所、及び従事する業務内容
(3)始業・終業時刻と休憩時間、及びその所定労働時間を超える労働の有無
   (交替勤務の場合は就業時転換関連事項)
(4)所定休日、休暇
(5)毎月の賃金の決定・計算・支払方法、及び締切日と支払日
(6)退職に関する事項、及び解雇事由
(7)パート労働者の場合は、昇給・賞与・退職金の有無

「求人募集広告へ掲示した労働条件」と「雇用契約締結時に明示する労働条件」は全く別物ですので、両者が必ず一致していなければならないということはありません。 また、求人募集広告の提示を以って雇用契約締結時の労働条件明示とすることは出来ません。
なぜなら、企業の求人募集行為は、法律上「雇用契約申込み(=求職者の応募行為)の誘引(お誘い)」に過ぎないからです。
2.労働安全衛生法の規定に基づき、雇入れ時の健康診断と安全衛生教育を実施しなければならない。
尚、健康診断については、入社日前3ヶ月以内に(本人が)実施した健康診断結果を提出させることで、その受診項目については代替させることが出来ます。
また、継続1年以上雇用しない従業員については、健康診断を実施する必要は有りませんが、安全衛生教育は、1日限りのアルバイト従業員に対しても行なう法的義務が有りますのでご注意下さい。


中途採用する時は2ヶ月(以内)の有期雇用契約を!
新規学卒者を採用する場合は、「雇用期間の定めの無い(=定年制が適用される)雇用契約」を締結することが一般的ですが、中途で従業員を採用する場合は、例え正社員として採用する場合であっても、まず「2ヶ月(以内)の有期雇用契約」を締結することをお勧めします。
この「2ヶ月(以内)の有期雇用契約」を締結するメリットは以下に述べる通りです。
(1)その従業員の本当の能力や適性を判断出来る
既に就職と離職を経験している中途採用者は玉石混交。
1〜2回の面接や履歴書などの提出書類だけでは、なかなかその中途採用者の本当の能力や適性を見抜けるものではありません。
2ヶ月間、その従業員の勤務態度、実務能力、性格(人間性)、協調性などをジックリ観察すれば、正社員として採用するに値するか否かは大体分かるものです。
そこで「OK」と判断したら、2ヶ月経過した時点で、初めて「正社員としての雇用契約」を締結すれば良いのです。

(2)いつでも解雇予告手当を支払わずに即時解雇が可能
現行の労働基準法では、2ヶ月以内の雇用期間を定めて新たに雇用された者を解雇する場合は、その雇用期間内であれば、30日前の解雇予告又は30日分の平均賃金(解雇手当)支払をせずに即時解雇が出来ます。
これが、単なる「試用期間」の場合ですと、入社日から暦日数で14日間が経過すると、法律に規定された先述の解雇手続きが必要になってしまいます。

(3)社会保険に加入させる必要が無い
2ヶ月以内の雇用期間を定めて新たに雇用された者は、(1週間の所定労働時間が30時間未満の場合を除き、雇用保険には加入させる必要がありますが)、社会保険(健康保険・厚生年金保険)は例外無く適用除外です。
これも上記(2)と同様に、単なる「試用期間」の扱いですと、入社日から社会保険に加入させる義務が生じますのでご注意下さい。

試用期間か否かという区別は、あくまでもその会社内での身分上の取扱いに過ぎませんので、社会保険事務所などの行政官庁に対しては、「試用期間中は社会保険に入れない」という理屈は通用しません。


身元保証契約について
従業員の採用に関して、身元保証人との間で身元保証契約を締結する場合は、次に掲げる点に注意して下さい。
(1)身元保証契約は、雇用契約とは全く別個の契約であり、法律の規定により、その契約期間を定めない場合は、契約締結日(その従業員の入社日ではない)から3年で失効します。
また、契約期間を定める場合でも、5年を超える契約期間を定めることは出来ません。
(但し、5年毎に契約を更新することは出来ます。)

(2)次に掲げる事項に該当する場合は、その旨を直ちに身元保証人に通知し、身元保証人が身元保証契約を継続する意思の有ることを確認しない限り、その身元保証人に対して損害賠償請求が出来なくなります。
従業員の職務又は勤務地を変更する為、その身元保証人の責任が加重されたり、身元保証人の従業員に対する監督が困難になる場合
従業員の勤務態度に不適任又は不誠実な傾向がある為、身元保証人の責任を引き起こすおそれの有ることを知った場合

(3)身元保証人は、当然ながら雇用した従業員の連帯保証人ではありませんので、特にその従業員の両親以外の人が身元保証人になっている場合は、「身元保証人は催告の抗弁権と検索の抗弁権を放棄する」旨の定めを置くべきです。
身元保証契約には、上記(2)のような法的制約が有りますので、原則として、その従業員の両親や兄弟姉妹以外の身元保証人は認めない方が無難です。





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愛知県名古屋市の社会保険労務士・行政書士 藤澤労務行政事務所